先月28日に日本工業倶楽部で行われた設立総会には役員をはじめ約70名の関係者が出席した
クライシスマネジメント協議会が先月28日、発足した。同日、東京都千代田区の日本工業倶楽部で行われた設立総会には、会長の石原信雄元内閣官房副長官をはじめ、多数の役員を含む関係者約70名が出席した。今後、大規模地震や新型インフレンザの大流行などの甚大な災害に備え、官民の連携を視野に、防災や危機管理に関する産業の育成・組織化や、企業における必要な態勢の構築などを目指す(環境新聞先月29日付1面で一部概要既報)。
同協議会は、その目的として、わが国社会の信頼性や生活の向上に向け、企業、地域、行政の参加の下、地域と産業による防災・危機管理運動を推進する。具体的には、危機管理戦略を策定し、防災産業の優れた企業の創成や防災・災害援助の質の向上、普及啓発発動を推進するほか、あらゆる災害への救護機能の強化を図り、防災産業や企業・団体・地方自治体などを組織化して、関連市場の形成や関係者の連帯強化の促進を目指す。
そのため、官民連携の協議組織の構築をはじめ、防災・災害救護システムや機材に係る産官学連携事業の推進、防災・災害救護に係る優れた企業・団体等の顕彰、防災産業による地域活性化の取り組みに関する支援などの事業展開を目指す。
会員は、@法人A団体B個人C自治体D特別ーーの5種類。事業者関連では、防災機器、ライフライン、物流・運送、建設、報道・通信、金融・保険、警備、医療・医薬品、社会福祉、食品、教育、労働、産業廃棄物処理など広範な分野を想定している。
設立総会では、初めに専務理事の長田逸平前日本生産性本部主席調査役が登壇し、昨年7月に日本生産性本部の中に発足したクライシスマネジメント研究会の活動を経て、今回の協議会の設立に至った経緯を説明した。
あいさつする石原会長 |
続いて、会長の石原信雄元内閣官房副長官があいさつに立ち、「阪神・淡路大震災が発生した当時、大規模な災害に行政機関だけでは決して十分対応できず、地域住民の皆さんや企業などが一体となって対応する必要性を痛感した。中でも企業における防災体制の整備・充実が重要であると考える。『災害は忘れた頃にやってくる』と言われるが、阪神・淡路大震災から15年以上経ち、震災の記憶もだんだん薄れてきている。そういう中で日頃から必要な態勢を整えることが大切である。皆さんのご協力をお願いしたい」と述べた。
また、林省吾元総務事務次官ら副会長および小嶋勝衛前日本大学総長ら顧問があいさつし、協議会の今後の運営には少なからず課題が残されているものの、国民の安全・安心の確保に向け、産官学をはじめ関係者間の連携の構築・強化に尽力していく考えを示した。
引き続き、理事・幹事の紹介が行われた後、長田専務理事が事業説明を行い、関係するあらゆる業種の企業・団体などが参画し、企業・団体同士、あるいはそれらと消防、警察さらに自衛隊などとの連携を図ることが事業目的になると指摘。その上で、問題意識を持った様々な主体が、災害時に家族や社員、地域等を守るためのプランをそれぞれ持ち寄り、委員会での活動を通じてそれらの実現を図っていく考えなどを示した。