わが国の主要都市は沿岸部の沖積平野に位置しています。
河川は市街地より高いところを流れており(図1)、広大なゼロメートル地帯に多くの人口と資産が集中しています。(図2)。
われわれのまちを守るのが堤防です。堤防が破堤すれば大惨事となるので、破堤しないように補強するのが重要であるが、今日はもう一つの重要な問題である水門の操作を取上げます。
堤防には、本川からの逆流を防いだり、高潮や津波の侵入を防ぐため多数の水門が設けられています(図3)。
もし、これらの水門が一つでも必要なときにきちんと締められなければ破堤したと同じような大惨事になります。
水門の操作は電動や手動で行われるのが普通です。大規模の水門には補助電源が設置されているが、多くの水門は停電になると動かなくなります。手動で行うには、時間がかかるうえ、危険が伴います。東日本大震災では水門を閉めようとした人たちの多くの命が失われた。高知県では、危険なときは水門操作をすることを断念したと報じられています。
こうした現状を打破しようというのが「水道水圧の活用」です。
水道水圧は水門操作に利用できるだけではありません。
まちのなかでは浸水に対応するため土嚢がよく用いられます(図4)。しかし、土嚢では防ぎきれないことが多いのです。
水道水圧の活用分野は広いです。
ぜひ、水道水圧を活用して「予期せぬ浸水」に備えていただきたいと思います。