大規模な地震や津波、火山噴火等による、ライフラインのうち、水道や下水道について、従来、大規模集中供給・処理システムを基本システムとして、整備が進んでいる。
しかしながら、阪神淡路大震災や東日本大震災の被災や復興の現状をみると、大規模集中供給や処理システムが一斉に機能を停止、被災地の避難生活や被災を免れた住居での生活が十全に機能しない状況がみられ、復旧・復興のやりやすさや避難生活の利便性を考慮すると、小規模分散型供給・処理システムを、都市や地域の基本システムとして、位置づけることの重要性が再認識されている。
本研究会は、そうした小規模分散型供給・処理システムの備えるべき要件や機能、果たすべき役割や先進的な技術を調査・検討し、あるべき小規模分散型(下)水道供給・処理システムを提言する。
本分野には、その目的や技術の違いから、多岐にわたるシステムが存在し、また今後開発されるものと考えられる。
したがって、その目的や用途により、研究会内に下記の分科会を組織し、それぞれの分野の調査・研究を進め、研究会で、総合して提言を行う。
分科会は、発足時点では下記が想定されるが、今後の調査・研究の進展に伴い、追加・廃止等が行われるものと考えている。
1. | 防災都市としてのあるべき(下)水道供給・処理システム分科会 |
都市や集落の被災時のライフラインの確保のためのあるべき(下)水道システムの要件を検討し、個別技術や製品・システムの評価基準を策定する。 | |
2. | 微生物や酵素などの有機分解技術分科会 |
微生物や酵素など有機生分解・消化機能を活用し、給水・排水・廃棄物を削減し、被災下の生活を支え、生活環境の劣化を防止する技術を調査・検討、実用的な技術を認定・提言する。 | |
3. | 簡易トイレシステム分科会 |
被災地や避難所における緊急避難的トイレシステムや、遠隔地や非居住地域(観光地や山岳・離島など)の、完結型簡易トイレのあるべき姿を調査・検討し、実用的な技術・製品を認定・提言する。 | |
4. | 分散型合併浄化槽分科会 |
合併浄化槽システムはすでに一部地域で、基本システムとして整備されているが、災害発生時の機能確保の面では、電源が不可欠であるため、独立した技術としては、災害対応としては、不十分な部分が存在する。このため、スタンドアローン型の発電・蓄電機能なども備えた、災害対応型合併浄化槽を調査・検討し、そうした製品の開発・認定・提言する。 |
有識者・会員企業等が、研究会・分科会に登録、各分科会の論点や、検討技術を個別に特定し、論点・技術ごとに、メーリングリストを整備、論点提言とそれに対するコメントや技術提案、実証をIT会議で行い、その結果をまとめて、報告書(案)とする。 | |
実行主体としては、分科会ごとに、分科会事務局を設け、事務局が、論点整理や評価すべき技術を、分科会内に提起、分科会メンバーがML内で自由に討議する。 | |
半年や1年といった単位で、討議や実証試験の結果を報告書(案)にまとめ、全員のレビューを受けて、報告書として発行する。 | |
報告書の内容は、年1回程度、報告会を開催周知徹底する。 | |
国・自治体に対し、報告書と具体的な政策や提案技術を紹介、採用に向け、研究会全体で、活動する。 |
委 員 長 | : | 熊本大学教授 古川 憲治 | ||||||||
副 委 員 長 | : | 前美作大学学長 富樫 穎 | ||||||||
各分科会長 | ・分科会事務局 | |||||||||
|
研究会事務局 | 伊庭 良知 |
E-Mail: | iba@image.ocn.ne.jp |